シミ治療では診断がとても重要です。なぜならばシミの種類によって治療法が異なるからです。また一方、シミの診断はしばしば困難で、治療を進めるうちに判明することもあります。実際には、加齢とともに顔に出現してくるシミには多種の疾患が混在しています。最近では、これらの疾患をまとめてAging Complex Pigmentation(ACP)と称し、保存療法とレーザー・光治療をうまく組み合わせて効果的で安全な治療を行うことが大切と考えられるようになってきました。
当クリニックでは老人性色素斑・脂漏性角化症といった単発のシミに対するレーザー治療はもちろんのこと、肝斑や遅発性真皮メラノサイトーシス(ADM)といった広範囲な病変を含むシミに対してもトータルで改善していけるようなプログラムを提供させていただきます。

老人性色素斑は、30歳前後から顔、コメカミ~頬あたりに発生する丸っこくて境目がはっきりした色素斑で、肝斑とともに代表的なシミの一つです。“老人性~”といっても若い人にもできるので日光色素斑とか日光黒子といった方が気分的には良さそうです。
さて、老人性色素斑はレーザー治療などで完治が期待できるシミです。なかでもQスイッチレーザーは選択的にメラニン顆粒を破壊し、ほぼ1回の治療で老人性色素斑を消すことができます。ただし、治療部分に10日間のガーゼ保護が必要で、このことがクリアできれば最も確実な方法です。
諸事情によりテープ保護が無理な場合は、IPL(フォト)治療という選択もあります。こちらはメラニン顆粒を多く含んだ細胞にダメージを与えて、表皮のターンオーバーによってそれらを排出させてシミを薄くします。完治率はQレーザースイッチに譲りますが広範囲のシミ・くすみにはIPLが第1選択になります。お顔全体のIPLに加えて特に気になる部分へのQスイッチレーザー治療という組み合わせも可能です。
部分的なシミ治療に特化したIPLハンドピース~アキュティップ~はガーゼ保護が不要で直後からメイクも可能です。
肝斑は30歳代後半ころより両側の頬にほぼ左右対称に発生する茶色の境界明瞭なシミの一種でアジア系女性には軽度のものを含めればごく普通に存在するシミです。まれに男性にもできます。頬に地図状に広範囲に広がったり額や鼻下に発生することもありますが頬部に散発することもあり、治療前に老人性色素斑との区別が難しい場合があります。
肝斑の発生する原因は不明ですが、日焼けや機械的刺激・妊娠や経口避妊薬内服で増悪することが知られており、また、Qスイッチレーザーや強力なIPL(フォト治療)でも照射部位に肝斑の素因があった場合に明らかなシミとして発現するため治療が困難なシミの一つといわれています。
肝斑に対しては通常“保存的治療”が第1選択となります。すなわち日焼けや機械的刺激を避け、美白作用・抗炎症作用を有する薬剤の内服(あるいは注射)をおこないます。機械的刺激は洗顔・化粧・マッサージなど普段の生活習慣に組み込まれている場合が多く、意識的に刺激をしないように注意が必要です。3~6ヵ月の“保存的治療”のみである程度の改善が期待できますが、そこから先の改善度合いは非常にゆっくりで、肝斑治療の1クールは2~3年といわれています。アジア人種である以上、現時点では肝斑をできなくすることは不可能です。いったん改善した肝斑も放置すれば再燃してきますので、その後のケアも大切です。
肝斑の新しい治療法“レーザートーニング”は、肝斑の原因をなくすことはできませんが肝斑が改善するまでの時間を大幅に短縮します。・・・積極的無治療、“保存的治療”に加えて肝斑治療のための新たな選択肢があります。
シワ・タルミはどうしてでてくるのでしょう?
最も大きな原因は皮膚の弾力性~復元力が加齢によって衰えてくるためだと考えられます。皮膚の構造的な変化としてはコラーゲンやエラスチンの減少や保湿機能の低下があげられます。
復元力が低下した皮膚は反復する表情筋の収縮によって折り目がつき易くなります。いわゆる表情ジワです。
また、加齢による影響は皮下組織にも及びます。皮下脂肪や皮膚を支えている靭帯が緩むことによって、重力に対抗する力が弱まり、皮膚や皮下脂肪が垂れ下がってきます。復元力が低下した皮膚とあわさって体表面の輪郭の変化や線状の凹みを形成しタルミ・シワとして認識されます。
シワ・タルミ治療にあたっては、①皮膚の弾力性・復元力を向上させること、②皮下組織を引き締めること、③シワをつくっている表情筋のコントロール、④凹みに対する組織への補充療法などがポイントとなります。
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まず始めに、どのようなニキビ治療を行うにしろ効果が現れるのには数ヶ月~半年単位で治療を継続する必要があります。1~2回の治療で劇的な改善はほとんどありません。このような意味から、いきなり保険外の治療をすることが最良とは限りませんので、通常のニキビであれば、まずは保険診療をお勧めします。多くの方がディフェリンゲルおよび抗菌剤の外用で改善傾向を実感されるようです。
ニキビは皮膚分泌腺の炎症性病変であり、どの程度炎症が拡大するかによって治癒までに要する時間やどの程度のニキビあと・瘢痕を残すかが左右されます。
したがってニキビ治療の基本はいかに炎症を拡大させないようにするかということだと考えられます。
②③に対してはレーザーやIPL治療が効果的です。特にジェネシス=ロングパルスNd:YAGレーザー中空照射はその簡便性や低侵襲性からニキビ治療のほとんどのステージで有用性が期待されます。IPLやイオン導入と組み合わせることでさらに効果を高めることが可能です。
色素沈着に対しては内服などによる保存的治療が基本となりますが、肝斑治療と同様レーザートーニングという選択もあります。
陥凹に対してはここ数年前まで有効な治療がありませんでした。中等度までの陥凹であればEr:YAGレーザーによるフラクショナルトリートメントで改善することがが期待できます。
過酸化ベンゾイル外用療法は通常の抗菌剤と異なりアクネ菌に対して耐性ができないといわれており、ホームケアとして注目されています。
お顔の毛穴の開きの原因としては、①ニキビなどの炎症に伴うもの、②皮膚のたるみによるもの、③分泌腺の活動によるもの、などが考えられます。皮膚に明らかな炎症を伴っている場合はその治療が優先されます。
第1選択として、“ジェネシス”で真皮浅層の血流に熱を加えることで炎症に伴う毛細血管を収縮させ、また一方で肌を引き締めます。これにビタミンCイオン導入とクーリングを組み合わせた“クールビタミントリートメント(CVT)”を併用するとなお効果的です。
第2選択として、タルミが目立つ場合には“タイタン”あるいは“ペレヴェ”がお勧めです。これらもCVTと併用可能です。
第3選択は“フラクショナルトリートメント(FT)”です。上記施術はほとんどダウンタイムがなく直後からお化粧など可能であるのに対しFTは3~7日程度のダウンタイムがあります。
ホームケアコスメとしては、“ナビジョンGGエッセンス”をお試しになるのも良さそうです。毛穴の開きと皮脂不飽和脂肪酸比率との関連が示され、不飽和脂肪酸が毛穴の周りの角化異常を引き起こすといわれています。そこで、グリシルグリシン(GG)を外用することで不飽和脂肪酸による細胞に対する悪影響を打ち消し角化を正常化させ毛穴の開きを改善させると報告されています。

ホクロ・イボ治療にあたっては悪性のものを見分けることが大切です。すなわち形がいびつだったり、濃淡が目立ったり、急速に成長したものは注意が必要です。ダーモスコピー検査は診断の助けとなります。当クリニックではダームライト3を使用しております。
ホクロ・イボの大きさや形状によって使用する機器を選択します。皮膚からの盛り上がりが大きいものに対してはラジオ波メス:サージトロンで切除、比較的平坦なものに対してはエルビウムYAGレーザー:MCL30で加熱蒸散、極小さな色素に対してはQレーザー:メドライトC6で対応します。部位によっては切除・縫合をお勧めすることもあります。
腋臭症・腋多汗症の治療としては根治手術とボツリヌス治療があります。
根治手術は腋窩皮膚のアポクリン腺を外科的に除去することを目的としたものです。遺伝的にアポクリン腺優位の症状の場合は手術治療で良い結果が期待できます。ただし、術後の圧迫固定や安静、内出血など合併症のリスク、腋窩皮膚の数ヶ月にわたるツッパリ感を乗り越えなければならないというハードルがあります。
一方、多くのエクリン腺は手術ではとりきれませんのでエクリン腺優位の方は極端な場合、手術してもほとんど自覚症状の改善が得られないことがあります。
ボツリヌス治療はエクリン腺優位の方の多汗症治療として第1選択だと考えられますが、アポクリン腺優位の方でも著明に改善する方もおられますので、諸事情により手術が受けられなくても試してみる価値は十分あります。
刺青・アートメイクはレーザー治療により除去することができます。完全に除去したい方から部分的な修正まで、幅広い色の刺青・アートメイクに対応しています。
アートメイクには時代ごとに流行があります。施術した当初は気に入っていたデザインも、数年後には流行の形ではなくなっていることもよくあります。アートメイクの色素はレーザーに反応しやすいため、比較的少ない治療回数で色素を除去できます。刺青もアートメイクに比べて治療回数が多くなる傾向がありますが、しっかりと効果が期待できます。
また、当クリニックでは眉毛や瞼などの施術でも安心して受けられるよう配慮しています。手軽に受けやすくダウンタイムが少ないため、今入れている刺青・アートメイクが気になる方にはおすすめの治療法です。